YA新着図書の紹介【2024年7月~9月】
『チョコレートを食べたことがないカカオ農園の子どもにきみはチョコレートをあげるか?』
木下 理仁/著 旬報社

学年が上がるにつれ、勉強って複雑になっていきますね。
小学校の時のテストの問題にはいつも〇か×か答えがありました。
でも中学生や高校生になってからの勉強では、正解のないことを考えなくてはいけない、ということも出てきたのではないでしょうか。小論文やディスカッションでは、時事問題やセンシティブな問題に自分なりの答えを見つけなくてはいけません。
ちょっとこの本のタイトルを見てみましょう。
『チョコレートを食べたことがないカカオ農園の子どもにきみはチョコレートをあげるか?』
さて、難しい問題です。カカオ農園では過酷な児童労働が常態化し、深刻な課題となっています。根深い貧困問題と隣り合わせの彼らにとってチョコレートは高級品であり、見たこともない人が少なくありません。そんな子どもたちとみなさんが出会い、そしてポケットにチョコレートが入っていたなら、そのチョコレートをあげるでしょうか?
この本ではタイトルの議題を含めた7つのテーマに対して、登場人物がそれぞれの意見を出し合います。自分と同じ意見の人もいるでしょうし、全く反対の意見もあるでしょう。自分と同じ意見でも理由が全く違う人もいるかもしれないし、みなさんが今まで知らなかった知識や視点から別の意見を言っている人もいるかもしれません。正解のない、もしくは一つではない問題に自分の答えを見つけるのは大変なことです。
でも問題を様々な視点から見て複雑さを知ること、答えを見つけようと考えることは、これから出会う答えのわからない問題と向き合う練習にもなるはずです。
世界の問題を知るための本ではなく、世界の問題に向き合うための考え方を知る本として、ぜひ一度この本を手にとってみてください。
7月から9月のYA向け新刊
- 『アドニスの声が聞こえる』 フィル・アール/作 小学館
- 『いつかあなたに出会ってほしい本』 田村 文/著 河出書房新社
- 『真実の口』 いとう みく/著 講談社
- 『透明なルール』 佐藤 いつ子/著 KADOKAWA
- 『スラムに水は流れない』 ヴァルシャ・バジャージ/著 あすなろ書房
- 『なんでもない一日の辞典』 山口 謠司/著 WAVE出版
- 『海のなかの観覧車』 菅野 雪虫/著 講談社
- 『小説落第忍者乱太郎ドクタケ忍者隊最強の軍師』 尼子 騒兵衛/原作 朝日新聞出版
- 『戦国時代のタイムライン』 スエヒロ/著 朝日新聞出版
- 『部活でスキルアップ!写真部活躍のポイント』 吉田 允彦/監修 メイツユニバーサルコンテンツ
- 『はなしをきいて』 マギー・ホーン/著 理論社
- 『6days遭難者たち』 安田 夏菜/著 講談社
- 『闇に願いを』 クリスティーナ・スーントーンヴァット/著 静山社
- 『見つけ屋とお知らせ屋』 廣嶋 玲子/作 静山社
- 『ネットはなぜいつも揉めているのか』 津田 正太郎/著 筑摩書房
- 『<萌えすぎて>絶対忘れない!妄想古文』 三宅 香帆/著 河出書房新社
- 『もしキミが、人を傷つけたなら、傷つけられたなら』 犯罪学教室のかなえ先生/著 フォレスト出版
- 『世の中は奇跡であふれている』 鳥越 規央/著 WAVE出版
- 『きみの人生はきみのもの』 谷口 真由美/著 荻上 チキ/著 NHK出版