YAおすすめ今月の1冊【2025年5月】
『ぼっち現代文』 小池 陽慈/著 河出書房新社

予備校で現代文の講師をしている著者の小池 陽慈さんは、学生時代からずっと周りの人とうまく付き合うことができず友だちがひとりもいない「ぼっち」だったそうです。群れてる人間をばかにしてるし見下してるし、そもそも人嫌いだし! と思いながらも、本当は、たった一人でもいいから真にわかり合える友だちと出会いたい、と思っていました。でもそれはどんな人だって抱えている欲求だと思います。 では、人は心の底から誰かとわかり合えることができるのでしょうか? ぼっちの人だから無理なのか? 友達が100人いる人だったら可能なのか? そんな疑問を10冊の本の紹介とともに考えていきます。 物語を紐解いていくと、そこには登場人物だけではなく語り手が存在します。登場人物の心情を語るこの語り手とは何者なのか。それも含め、述語の役割や接続詞の働きなどを学びながら、現代文を因数分解していくと、いつのまにか読解力が鍛えられていきます。おそらく本書を読んだ後の、現代文のテストではかなり良い点がとれるようになっているのではないのでしょうか。さすが予備校の先生です。 そんな副次的な効能がありつつも、最後に、「人と人はわかり合えるのか」という主題に立ち返ります。本書がどんな解答に行きつくのか、ぜひ読んでみてください。 |