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YAおすすめ今月の1冊【2025年4月】

『グッゲンハイムの謎』 シヴォーン・ダウド/原案 ロビン・スティーヴンス/著 越前 敏弥/訳 船津 真琴/装画 中村 聡/装幀 東京創元社

 
 
   
 
 
12歳のテッドは、夏休みに親戚のグロリアおばさんが務めるグッゲンハイム美術館を家族で見学します。
ところが突然白い煙が館内に充満し、全員外に避難するのですが、なんとその隙に名画が盗まれてしまうのです。しかもおばさんが犯人だと疑われ逮捕されてしまいます。
おばさんの無実を証明するため、テッドは姉のカット、いとこのサリムとともに犯人捜しの謎解きに挑みます。はたして犯人は誰なのでしょうか。

この本は『ロンドン・アイの謎』に続くシリーズ2冊目です。
ただし、気を付けてほしいのですが、当図書館ではこの2冊は本棚で隣同士にならんでいません。なぜかというと作者が違うからです。
実は『ロンドン・アイの謎』を執筆したシヴォーン・ダウドは刊行からわずか数か月後に癌によって47歳という若さでこの世を去ってしまったのです。でも2冊の執筆契約を結んでいたため、2冊目の代筆を務める作家を探し、この本ができたのです。
代筆を引き受けたロビン・スティーヴンスは『グッゲンハイムの謎』というタイトルしか情報が残されていないこの本を、1冊目のイメージを損なうことなくほぼ全部新たに考えなくてはなりませんでした。
しかしそうした苦難を乗り越えて、2年という歳月をかけてできたこの本は1冊目と同じ作者が描いたのではないかと思われるほど、文体や雰囲気などそのまま、楽しさもそのまま再現されていたのです。
『ロンドン・アイの謎』を楽しんだ方はぜひこの本も読んでほしいです。読んでない方はこの機会にぜひ2冊とも読んでみてください。