YAおすすめ今月の1冊【2023年12月】
『ぼくたちはまだ出逢っていない』 八束 澄子/著 ポプラ社

“金継ぎ(きんつぎ)”という言葉を知っていますか? 金継ぎとは、割れたり欠けてしまった器を漆(うるし)で繋ぎ合わせ、蘇らせる伝統技術です。 接着剤のようにピッと貼ってはい、おわり!ではありません。 ①漆を付ける準備・研ぐ ②漆をつけて乾燥 ②研いで凹凸を無くして乾燥 ④漆をつけて乾燥 ⑤研いで凹凸を無くして乾燥 ③漆に色をつけて乾燥 沢山の工程を経て金継ぎが完成します。 母親の再婚を機に京都へ引っ越してきた美雨は、新しい家族と中々馴染めず寄り道の日々を過ごしていました。 そんな中、たまたま通った骨董屋の金継ぎされた茶碗と運命の出会を果たします。ただ修復されたわけではなく息を吹き返した茶碗に魅了された美雨は、金継ぎを体験することになります。漆の木を触ってしまい手がかぶれ、偶然皮膚科で美雨と出会う陸も、もう一人の主人公です。 繋がれていく出会いやエピソードは、「また買えばいい」「捨ててしまえばいい」、だけの世界ではなく、読み終えるとそっと背中を押して応援してもらってるような暖かい気持ちになると思います。金継ぎも気になった方、もちろん図書館には金継ぎの本もありますので検索してみてください。 |