YAおすすめ今月の1冊【2022年4月】
『闇の魔法学校 Lesson1 死のエデュケーション』 ナオミ・ノヴィク/著 井上 里/訳 静山社

魔法使いの卵が学校で魔法を学ぶ、というとハリー・ポッターの「ホグワーツ魔法魔術学校」が有名ですね。 今回紹介する『闇の魔法学校』の舞台である魔法使い養成学校「スコロマンス魔法学院」はその対極と言ってよい場所です。まず驚きなのは先生が存在しないこと。先生がいなくてどうやって魔法を学ぶの? と思いますが、必要な教科書は必要な時に虚空からやってくる仕組みになっています。そして生徒は卒業する4年後まで学校に閉じ込められるのです。しかも学校ではありとあらゆるところに怪物が跋扈し、生徒の命を狙っています。なぜなら思春期の魔法使いは怪物にとって何よりのごちそうだからです。卒業まで生きて外に出られるのは4人に1人。それでも外の世界よりはマシで、学校に行かない場合、その確率は20人に1人です。 そんな過酷な日常ですから、とにかく自分の命を守るために、生徒同士での交渉や駆け引き、派閥争いを繰り広げなくては生き残れません。協力し合うことが何より重要な世界で、主人公のガラドリエル(通称エル)は“暗い魂の持ち主”ということでみんなから避けられ孤立しています。そんな嫌われ者の彼女に、なぜか最近つきまとう人気者のオリオン。オリオンのせいで、エルの毎日は少しずつ変化していきます。 生徒があっけなく死んでいってしまうというダークな内容にハリポタ好きは度肝を抜かれるかもしれませんが、面白さは引けを取りません! |