YAおすすめ今月の1冊【2025年6月】
『夜フクロウとドッグフィッシュ』
ホリー・ゴールドバーグ・スローン/作 メグ・ウォリッツァー/作 三辺 律子/訳 小学館

ニューヨークで暮らす動物が大好きでアクティブでちょっと破天荒なベット。 ロサンゼルスで暮らす読書が好きで思慮深くて不安ばかりのエイヴリー。 正反対の二人を結びつけるのは――お父さん同士が恋に落ちてしまったということ! ある日、エイヴリーは見知らぬアドレスからのメールを受け取ります。差出人はベット。 『そっちのお父さんとうちのお父さんは、3か月前、シカゴの建築博覧会とかいうので出会ったんだ。(中略)2人は今、付!き!合!っ!て!る!!!んだよね』 どちらもお父さんと娘の二人の暮らしに満足していたのに、お父さんたちは家族になって二人を姉妹にさせようとしているのを知って猛反発の二人。力を合わせ、お父さんたちの結婚を阻止しようとします。……のはずが! お互いのことを知るにつれ、自分にないものを持っている二人の間には友情が生まれていきます。そして、ついには姉妹になってもいい、と思うようになるのです。 ところがそんな時、お父さんたちの恋人関係に亀裂が……!? そうとは知らずに友情を深める二人の気持ちはどうなってしまうのでしょう? そうそう、この本は普通の小説とちょっと違います。 エイヴリーとベットのメールのやりとりを基本に、ほとんどが誰かが誰かに宛てたメッセージだけで進んでいきます。このメッセージとメッセージの間には何があったのか、私たちは頭の中に思い浮かべるしかありません。だけど、思い浮かんだ二人の姿はきっと生き生きとしているはず! だって私たちはまるで二人の友達になったかのようにメールを読んでいくのですから。 二組の父娘の関係にとどまらず大きく広がっていく物語と、意外な結末にも大注目です! |